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中韓知財戦略について

中国・韓国の知的財産権戦略について

 

中国、韓国の国家としての知的財産戦略という観点で、日本との比較で考察して頂けるような情報を発信させていただきます。

なお、情報源は、韓国知識財産研究院、中国国家知的財産局保護協調局からの報告及び論文等を原文にて解読し、日本については政府知的財産戦略本部の計画などを参考にしております。

まず、中国、韓国とも日本国の「知的財産権推進計画」で記載されている上記定形的なテーマについて参考的に紹介している論考はありますが、国家の知的財産権戦略は、特に中国においては明らかに相違しているように見えます。

中国における産業構造の状況、及び知的財産戦略の特徴は下記のように感じております。

 

①中国の持続的市場経済を牽引したのは、行政体であると同時に経済体でもある地方政府であり、世界トップ10企業に入った3社も国有寡占企業であるが、家電、携帯電話ではご存じの民間企業が大きく台頭している。国有企業、国が株を支配している企業は、基幹産業では75%で、特に情報・IT産業では96%というデータもある。しかし、一方で、2030年に向けて一層の私有化を目指すという国務院のレポートもある。

②国家としての知財戦略としては、欧米の知財戦略に「追いつき意識」は相当なものがあり、しかもパワーとしての「知財パワー」への発揮には、中央政府、地方政府とも焦点が合っているように見える。

③「知的財産戦略の実施は、イノベーション指向の国を構築する」と標榜しているが、この意味は日本的な解釈をすると誤解するように思える。すなわち、中国という計画経済では、新しい技術は「生産性の急速な向上」を達成し、「資源コスト」の低下も図れるし、「中国製」という品質上のブランドイメージの向上も図れるという国益に適うということにありそうである。このような意味で、知的財産権は、国家間及び企業間での競争の核心的要素であると論じられている。

④一方で、知的財産権の「分析と評価」の重要性も議論されている。これは、特に、中国にとって重要な新技術に対する国家投資の品質効率を高めるためとの印象がある。また、世界の最新技術情報の95%は特許文献に掲載されているのでそれを活用すべきとか、特許文献を見ることで開発時間、R&D費用が大幅に削減されるとの特許情報の活用を推奨しているものの、一方で、アップルとコダックの例を挙げて他社特許の侵害については注意すべく知的財産権の「分析と評価」を促している。韓国の「ワンストップ」のサポートも紹介している。

一方、韓国における知的財産戦略の状況は、日本の戦略を追従しているものの、特に下記の点では、別異の戦略化も垣間見えるように感じております。

 

①日本における、知的財産権大綱(2002年)から知的財産基本法制定、知的財産戦略本部の戦略推進成果について言及した上で、民主党が政権を取っていた時期(2009年から2012年)と、自民党ではその戦略方向が異なっており、その修正時期にあると評価している。その上で、韓国でも知的財産の基盤が脆弱な実情からも、自民党政府で推進した知的財産保護強化政策が必要であると考えている。

 

②日本における大学TLO育成は、自立化に力点おくが失敗したのは、人材の質と量であるとの反省点を掲載し、韓国としては技術そのものを出発点とする技術創出、保護、活用する人材育成ではなく、事業を出発点とする事業化、製品化、標準化後、知的財産を確保する人材が必要と評価している。

 

③グローバルゼーション化については、韓国内需の成長潜在力が低下しているので、国際標準化などを通して国際市場確保が必要と考えている。

 

さらに、2019年には中国、韓国とも軌を一にしたように懲罰的損害賠償の法規定が追加される。しかし、中国では最大5倍賠償という規定でもあり、韓国では「優越的地位の有無」という要件があるため、それら規定の趣旨、適応場面は相当違うものの、両国とも登録率が70%以上となっていて、しかも中国は一層の早期審査を推進するということなので、我々の製品開発の際には、これらの国の特許調査、評価対策を、今まで以上の迅速かつ広範に大量に処理しないといけないので、その場面でも当社力量が最大限に発揮されるものと考える次第です。

その2

技術経営者として考えていただきたいこと

技術指向型開発会社様向け「特許受託(クラウド)化へ向けての特許調査・評価」のご説明に使用いたしました「技術経営者として考えていただきたいこと(レジュメ、公開版)」を、下記に掲載させていただきます。

(1)知財情報の氾濫と、その判断基準

 

(2)知財効果の分類

 ・内部効果とは

 ・外部効果とは

 ・いずれの効果を重視すべきか

 

(3)知財部の評価基準とは

 

(4)『知財の力』とは

 ・『知財の力』を発奮させる基礎

 ・開発企画との関係

 ・基礎研究との関係

 ・製品設計との関係

(5)知財部の本当の役割とは

 

(6)知財トップの人選と、経営者の責任

 

(7)『知財の力』が及ぼす会社業績

 

(8)知財力と事業(開発)提携との関係

 

(9)技術経営者がすべきこと(まとめ)

・「内部効果」と「外部効果」の峻別・活用

・『知財の力』の発奮とブレイクスルー経営

・知財の経験知を生かす経営

・知財イノベーションの推進

以上

 

企業において、単なる出願担当者や調査担当者のみを配置しただけでは、経営に資する知財戦略を練ることは困難と思われます。当社は、中小企業や大会社のさまざまな技術分野の知財を経験した者が、貴社の現状に合わせてさらなる知財活動を戦略できるように受託し、当社を貴社にとっての「第一級の特許部」として活用できます。

その1

「知財イノベーション」についての説明レジュメ

各社の知財部幹部の方々にご説明しました内容を、「『知財イノベーション』についての説明レジュメ(公開版)」として、下記に掲載させていただきます。

 

1 知的財産権を如何に利用すべきか(「知財イノベーション」の背景)
 

① 知的財産権は必要悪か
・事業面からみた、特許と製品の本当の関係 ・他社との製品競合で特許の果たす役割

・特許リスクとは何か
 

② 会社経営から浮いてしまった特異な知的財産経営
・知財部の考え方と企業経営の考え方の異同 ・知財に関する現状と経営者の考え方
・知財活用と経営リスクの関係 ・本当の「技術貢献」とは何か

 

③ 経営者は如何に知財と向き合うべきか
・企業それぞれの知財文化の特異性 ・モザイク的な知財経営を目指しているのか?
・「社内効果」と「社外効果」の区別 ・危険な知財文化熟成の可能性

2 知財管理の段階的進化とその是非論

 

① 第一段階
・教科書から得た知識での知財管理手法と、その危険 

・ほんの一例の特許係争から企業の知財文化が育成される
・知財経営のモザイク的な目標化、無価値な外注依存体制

 

② 第二段階
・防御のためと称する知財権の獲得及び自己満足 ・防御から攻撃に向けて特許活用の標榜

・知財組織の明確化、及びスタッフ増員 ・しかし、まだまだ不十分な知財管理体制
 

③ 第三段階
・知財部門、開発部門、技術部門の高度連携化 ・「製品単位」から「技術単位」への知財力アップ
・特許活用のための実践部隊の体制

 

④ 第四段階
・知財権の戦略的活用の検討開始 ・自他社の特許・製品情報収集能力の向上
・特許破産(カタストロフィ)の解消 ・顧客への知財問題貢献と、信頼獲得

 

⑤ 第五段階
・自社特許群を「活用単位」で分類化 ・経営戦略と知財戦略の交錯
・提携、技術供与などへの知財権の戦略的活用 ・本当に必要な知財マンの継続的確保

 

⑥ 段階的進化の是非論及びその対策
・第一段階から第五段階への段階的進化が必要か、その是非論
・限られた人的、金銭的資源での知財管理の在り方

3 戦略的な知財管理の考え方

① 多額の知財予算が本当に必要か
・知財予算の特異性(予算管理を知財専門用語でごまかしていないか)
・変動費と固定費の区別 ・変動費のほとんどが人件費に過ぎないことの認識
・固定費の必要性認識 ・会社リスクとの関係

 

② 知財組織の在り方
・資格試験と実務レベルの関係 ・必要な知財伝達能力とは
・大会社と中小企業の知財組織比較 ・知財部長に必要な見識とは 

 

③ 利用できていない「知財の力」(「知財イノベーション」の本質)
・「発明管理」の主体は誰か ・「知財の力」を発揮するためには
・知財部は6つの質問(省略)に即答できるほど考えているか ・本当の守りの特許管理とは
・攻めの特許管理とそのリスク、及び攻めの特許管理の発展形は 

 

4 競争原理としての知財管理方法


・日本企業との関係 ・欧米企業との関係 ・アジア企業との関係
・大会社と中小企業との関係 ・大学との関係

5 経営に必要な「知財イノベーション」とは(まとめ)

 

・「知財の力」の本質とその利用方法 ・会社経営者は何をすべきか

以上

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